大人の多読と子供の多読は違う
最近は、おうち英語で「多読をさせたい」とおっしゃるご家庭も多いようなのですが、多読についてまず確認しておきたいのは、大人の多読とおうち英語でバイリンガルとして育ってきた子供の多読は、目的もやり方も違うということです。
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私も、長女がまだ赤ちゃんの頃、本屋さんで1冊の本(↓)を見つけて、子育ての合間に自分自身の多読をやったことがあります。
(記録を取ってあったので見てみたら、2003年3月に始めて、9か月後の12月に100万語を達成し、2005年8月には400万語までいきましたが、そこで記録は中断していました)
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大人の多読は「英語回路」を作るためのもの
この本は、大人向けに「ペーパーバックがスラスラ読めるようになるための多読のやり方」を説いた本だったのですが、この本を指南役に多読をやった経験から言うと、大人の多読は「英語を日本語に訳さないで英語のままで処理する」感覚をつかむためのもので、いわゆる「英語回路を育てる(英語脳を作る)」ためのものです。
大人は、日本語回路が出来上がってしまっている、言い換えれば「日本語のバリアが強力で、音からのインプットでは英語回路を作れない状態です。
ですから、文字によるインプットで、英語を英語のまま処理していく「英語回路」を(音の習得は不完全ながらも)作っていく、このために多読が有効です。
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ですが、おうち英語で英語回路ができている子供に、この目的での多読は不要です。
また、まだ英語回路ができていない子供には、洋書の読書自体が早過ぎます。 子供の場合、英語回路は「かけ流し」で音を入れて作る方が自然です。 (ですから「本読み」の取り組みを始める前にかけ流しを3ヶ月ぐらいやっておくか、少なくとも並行してかけ流しを始めるようにします)
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子供の多読は、音からの英語回路ができた後の「インプット」
では、おうち英語の子供にとっての「多読」の目的とは何かと言うと、多読は「入力」の一つなのです。
おうち英語で英語回路のできている子供や英語上級者の大人は、英語を聞くだけで、新しい語彙や表現を吸収、つまり入力・蓄積していくことができます。
入力されていない英語は使えませんから、この「入力量」の差が英語力の差になってくる訳ですが、小さい頃は「かけ流し」で入力できても、時間がとれなくなったり、子供の自我が強くなってかけ流しを嫌がるようになったりするなど、子供が成長するに従ってかけ流し自体が難しくなってきます。
そんな時、洋書が読めるようになっておくと、いつでもどこでも手軽にできる読書が新しい入力源になるので、そのために「一人で読めるようにしておく」と都合が良いのです。
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また、耳だけで覚えた英語は、無意識で習得していて、自我(顕在意識)に定着していないので、大人になって(自我が強くなってくるにつれ)失われやすいという側面もあり、このためにも「読めるようにしておく」ことは大事です。
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しかし、大人の多読のように「大量の読書によって英語回路を作る」必要はない訳ですから、読めるようにさえしておけば、そこまで多読の量にこだわる必要はありません。
「英語を読む」ということで言えば、中学以降は、長文問題などで学校でも英語を読む必要が出てきますし、その時に日本語に訳しながらうんうん読むのではなく、すらすら読めるようにさえしておけば十分です。
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では、どうすればすらすら読めるようになるのか、というと、すらすら読むためには、「直読直解できる」ことと「(内容が難しくなってきても理解できる)語彙がある」ことが必要になってきます。
と言うことで、「かけ流し」と「意味づけ」が済んだら、「語彙」を増やしていき、読めるように導いていく訳ですが、その具体的なやり方については、次回以降、書いていきたいと思います。
「おうち英語で子供をバイリンガルに育てたいけど、一人でできるかどうか不安」というお母さん(お父さん)のために「おうち英語の会」をやっています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
今回は第2回目です(第1回目は、コチラ)