オンラインコミュニティ「おうち英語の会」のご紹介

おうち英語でスピーキングもできるようになる?

前回の記事に、こんなコメントをいただきました。


>日本語と同じように英語の音が流れる環境で育てば、リスニングとスピーキングは、人間の子供だったら誰でもできるようになります。

とありますが、我が家は英語の音が流れる環境で育つだけではスピーキング力がなかなか伸びないと感じています。
具体的にその環境で育てて誰でもできる様になるコツを知りたいです。


バイリンさるのサラミ
今日は、このご質問にお答えします

日本でおうち英語をしていても、なかなか子供が英語をしゃべらないので、やきもきしている…。

こんな方は多いのではないでしょうか?

しかし、おうち英語で育てれば、スピーキングもできるようになります。

それは「必要に応じて」なのですが、おうち英語をしっかりやって育てれば、かなり高度な「必要」にも、すぐに応じられるようになります。

この話題については、以前「親が英語を話せなくても大丈夫?」という記事でも触れましたので、参考にしてみてください。

スピーキングに必要な力

英語を話せるようになるには、「能力」と「自我」が必要です。

「能力」というのは、大まかに言うと4つあって

★英語を聞き取る力
★聞き取った英語を理解する力
★言いたいことを言える語彙や表現力
★発話するための筋肉

そして「意志」というのは

★「話したい」または「話さなければ」という自我による強い気持ち

です。

(この他にも、言語がコミュニケーションの手段であることを認識しておく必要がありますが、これは日本語を話しているなら認識できているはずなので省略します)

おうち英語で身につけられるもの

スピーキングに必要な「能力」は、基本的におうち英語で身につけることができます。

おうち英語の進め方」にも書いてある通り、「かけ流し」「意味づけ」「語彙を増やす」までやれば、

★英語を聞き取る力
★聞き取った英語を理解する力
★言いたいことを言える語彙や表現力

は身についていきます。

★発話するための筋肉

だけは、口を動かさないと身につきませんが、子供が小さい頃におうち英語を始めている場合は、歌を歌ったり、子供が本能的に英語をリピートするなどして、自発的に身につけていくことがほとんどです。

ただ、小学校以降でおうち英語を始める場合には、自発的な発話はないかもしれません。
その場合は、音読や暗唱などで、聞いた音を繰り返して口に出す取り組みを取り入れて、発話の筋肉を身につけていく必要があります。

いずれにしろ、発話の筋肉も、英会話レッスンに通ったりオンライン英会話をしなくても、おうち英語で十分身につけていけます。

そして、ここまでやっておけば、子供は「必要に応じて」いつでも話せるようになっています。

おうち英語で身につけられないもの

そうやって、スピーキングの「能力」はおうち英語で身につけることができても、難しいのが「意志」です。

意志とは自我によるもので、アウトプットにはどうしても「自我」が必要です。( →「自我は悪者?」)

この自我は、親や本人ですら、コントロールするのはなかなか難しいものです。

以前「子供が英語をしゃべらない」という記事にも書いたこともありますが、自我がはっきりしてくればくるほど、子供は、必要のない時には、なかなか英語を話さなくなります。

また、会話には「慣れ」の要素も大きいので、普段英語を話すことのない子供は、自分が英語をしゃべれるとは思ってない(気づいてない)場合も多く、そうすると、本当に切羽詰まって必要なことでなければ、ますます「苦手なことをやって、みっともない思いをしたくない」「挫折感を味わいたくない」と、自我が抵抗します。

こうなると、「オンライン英会話とかやってみる?」と聞いても(親の期待を敏感に感じている場合は特に)、子供は「なるべく話さなくて済むように」という態度を取りがちになり、親子でバトルが勃発してしまって、ますます英語に対してネガティブな気持ちを抱いてしまうかもしれません。

すると、ますます「自我」が反発して、本当は話せる「能力」があっても、(表面的には)話せなくなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

おうち英語で「英語を話したい」という「自我」を身につけるのは、難しい場合も多いです。

それでも、淡々とおうち英語を続けていけば、無意識化での英語の習得は進み、スピーキングに必要な「能力」は上がっていくので、いざとなったら話せます。

それが、自我の抵抗で取り組み自体ができなくなり、おうち英語を辞めてしまっては、いざとなってもそんなに話せるようにはなれずに終わってしまいます。

 

スピーキングは慣れも大きい、でも今じゃなくても良い

スピーキングは、確かに最初は慣れに左右される部分も大きいので、普段しゃべっていないと、突然「英語しゃべって」と言われても、すぐには話せません。

でも、話す必要が出てきたら、自我だって「仕方ない、英語しゃべらねば」という気になります。

そんな風に(やっと)「自我」がその気になったとしても、「能力」がなければ、英語は話せません。
(いくら大人が「英語を話したい!」と思っても、自我がそう望むだけでは話せませんよね?)

でも、おうち英語で「能力」を育んできた子供達は、場所を与えられて「自我」がその気になると、親がびっくりするぐらい英語を話し出します。

例えば、フィリピンのサマースクールに参加したお子さん
例えば、インターナショナルスクールに入学したお子さん
例えば、ロンドンのサマースクールに参加したお子さん

など、このブログでも体験談をご紹介しています。

おうち英語だけで育った我が家の娘達も、アメリカに引っ越したら、あっという間に英語を話し出しました。

でもですよ、会話には慣れも大きい、とは言っても、普通のご家庭では、おいそれとアメリカに引っ越したり、外国のサマースクールに入れたりはできず、週1~2回の英会話レッスンがせいぜいではないでしょうか?(我が家も、夫のアメリカ赴任の話が降って湧くまでは、オンラインの英会話レッスンでさえ無理でした)

うちの場合は、日本に帰国した後ですらも、高校生の長女は時間がなくて、もう英語どころではありませんし、中学生の次女は週1回、2コマ(合計50分)のオンライン英会話を無理矢理やらせるのが精一杯です。

そして、週1回では、いつでもぺらぺら話せるほどにはなりません。
帰国子女で、アメリカにいた時は英語しかしゃべらなくて日本語を心配したうちの子供達ですら、今では「もう英語しゃべれない」と(彼女たちの自我が)言っています。(Skypeで、ずいぶんたどたどしくなったとは言え、フィリピン人の先生と英語でレッスンしてるのに)

しかし、おうち英語で「無意識」で習得した英語は、自転車の運転のようなもので、乗らなくなって何十年も経ってから「まだ乗れるかな?」と不安でも、いざ乗ってみたら「まだ乗れる!」となるので、心配はしていません。

乗る必要のない自転車に「自転車に乗り慣れておく」ために毎日乗る必要はないように、会話の「慣れ」も決して今は必要ではありません。

おうち英語では「自我」に抵抗させずに「能力」を育んでおこう

自転車だったら、小さい時に乗り方を覚えたら、あとは乗らなくなっても、脚力やバランス感覚、反射神経が維持できていれば、また必要になれば乗れるものです。

英語のスピーキングも、おうち英語で英語を身につけてきた子なら、「能力」を維持したり、できれば語彙などを伸ばしておけば、必要になればすぐに話せるようになるものです。

そのためには、英語の音環境を絶やさず(できれば読めるようにしておき)、小学校に入ったら、発話の筋肉も維持できるように、声に出す(音読、暗唱などの)取り組みを少しずつ取り入れておけば十分です。

もちろん、週1回の英会話レッスンやオンライン英会話で、少しでも「慣れ」ておくのは良いと思いますが、本当に将来、役に立つのは、少しばかり英会話に慣れていることよりも、しっかりとした英語の「能力」を高めておくことです。

そのためには、「自我」に抵抗されて、おうち英語が難しくならないように、ストレスの少ないおうち英語を心がけてくださいね。

(参考記事:「おうち英語を成功させるには「自我」を理解する」「おうち英語と自我」)

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