先日、NHKの「すくすく子育て」で「英語 始めたほうがいい?」という番組が放映されたそうです。
私はこの番組を見ていないのですが、放送内容をまとめたこちらのページにもあるように
「9、10歳以降から始めると効率がよい」とか、
「大人になってからでも大丈夫」とか、
どちらかというと、早期英語教育には否定的な内容だったようで、某・英語育児コミュニティで、この話が盛り上がりました。
私もつい、熱くなって参加してしまったのですが、今日は、「本当に9、10歳以降でいいの?」「本当に大人になってからでも大丈夫?」ということを、「大人になってから英語が話せるようになった」私が思うことを書いてみたいと思います。
この話題では、以前も「英語の早期教育は危険ですって?笑笑笑」という記事を書いていますので、良かったら、そちらもお読みください。
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Contents
大人になってからでも英語は話せるようになる
この話題を見かけた時の私の感想は、
「はいはい、
私も大人になってから勉強して英語が話せるようになりましたよ。
でも、そのために膨大な時間をかけましたから。
その時間が勿体ないから、子供には妊娠中からかけ流しをしたんです!!!」
でした。
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中学で英語を始めて、私はその後、通訳者になり、アメリカの大学院にも通いました。
ですが、そこに至るまでに、どれだけ英語の勉強に時間をかけたか(今でもかけているか)この時間を他のことに使えたらどんなに良かったか、と、心の底から思っています。
私は今でも、英語を話す筋肉が衰えないよう、洗濯ものを干しながら必死で英語のシャドーイングなどしていますが、その横で娘達は、いつの間にか覚えた好きな英語のセリフを言い合ったり、洋楽を歌ったりしています。
娘達は英検準1級どまり、私は英検1級を持っていますが、こんな芸当、大人になってから英語を勉強した私には、到底、無理。
我が子ながら、おうち英語っ子、本当にうらやましいです。
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おうち英語で苦労しないで身につけた英語は、忘れてしまうこともない
我が家の子供達は、物心つく前から「家の中に英語があるのが当たり前」の状態で育ちましたが、英会話レッスンに通うことも、外国人と会話することもありませんでした。
でも、アメリカに行くことになったら、初日から英語が分かり、3年間まったく英語の苦労なく、アメリカ生活を楽しむことができました。(「我が家の英語育児」)
帰国後は、ほとんど英語保持の取り組みはしていないので、会話の流暢さは失われています。
でも、おうち英語で「第二の母国語」として英語を習得していますので、私達が外国に引っ越しても日本語を忘れることがないように、英語を忘れてしまうことはありません。
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子供達が幼い頃は、特に「楽しむための工夫」をしたわけではないので、今、子供達は別に「英語って楽しい!」とか「英語が好き!」とか「将来、英語を活かす仕事がしたい!」なんてことは全然ありません。
むしろ「英語キライ」ですし、「英語関係の仕事に就くのだけはイヤ」などと言います(笑)
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それでも、英語ができる有難みは感じているようです。
ちょうど今、高2の長女は、期末テストの真っ最中ですが、英語の勉強はほとんどしないくても、いつも学年上位ですので、友達が英語の勉強している間に他の勉強してます。(その割には、数学は…、ですが 笑)
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私は、高校生の英検指導もしていますが、生徒さんに大量の宿題を出しながら、「こんなに賢い子なのに、英語に時間を使わなきゃいけないなんて勿体ない」といつも思います。しみじみ思います。
「たかが英語」なんか、子供も知らないうちに身につけさせてあげられるのに、影響力の大きいこんな番組でこんな放送をするなんて、日本の若者に余計なストレスを与えたいか、他の勉強をさせたくないのか、と勘繰ってしまうぐらいです。
セミリンガルの危険性?
ですが、その後、このアドバイスをされている方が国際結婚のご家庭で、一般的な日本人の家庭とは事情が違うということが分かり、少し納得しました。
と言うのは、国際結婚のご家庭というのは、バイリンガル教育が常にセミリンガルの危険性と隣り合わせ、という状態で、危機感を持ってらっしゃることが多いからです。
(セミリンガルについては「日本で育つ子供は『日本語ドミナントバイリンガル』に」をご参照ください)
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実は、うちの次女も、日本語が少し弱いです。
これは、早くから英語を与えたせいではなく、小1~3をアメリカで過ごした(その間、日本語補習校にも行かなかった)ので、最初の学校教育を日本ではなくアメリカで受けたことが主な理由です。
アメリカに住んでいた頃は、日本語が遅れる、と本当に心配したものですし、アメリカ在住の国際結婚のご家庭が、日本語の保持にどれだけ苦労されているか、というのも目の当たりにしています。
当時は、我が家も、そんな国際結婚のご家庭と同じぐらい、子供達(特に次女)の日本語には危機感を抱いていました。
ですので、国際結婚のご家庭で日本語が弱いと気づいたら、危機感を抱き、バイリンガル育児に慎重になるだろう、というのは、他人事ではなく理解できます。
でも、私は断言できますが、両親ともに日本人で日本にずっと住んでいる家庭では、かけ流しでバイリンガルになるメリットの方がずっと大きいです。
うちの次女も、確かに今でも日本語は少し弱いですが、それでも、日本に戻ってあっという間に日本語が優位になったのを見ていて、最初から英語育児をやってきて良かった、と思ってます。
次女は確かに、日常生活で時々変な日本語は使いますが、国語の成績も悪くなく、「バイリンガル? セミリンガル?」にも書いたように、モノリンガルではないことによる恩恵の方が遥かに大きいです。
そして、次女より格段に賢い(偏差値70以上の)高校生が、必死に英検準1級の勉強に時間を使う中、大して勉強もせず、6月の英検準1級の1次に合格して、今日は2次試験です。(次女の英検については、コチラ)
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おうち英語で「日本語ドミナントバイリンガル」に
「日本で育つ子供は『日本語ドミナントバイリンガル』に」にも書きましたが、日本のバイリンガル観は極端です。
小さいうちから英語がしゃべれる子供には、途端に高い日本語力を要求しますが、モノリンガルの日本語話者でも変な日本語をしゃべっていたり、話が通じなかったり、論理的な文章が書けない人も多いです。
もし、おうち英語で日本語がおかしくなっていたら、それは、英語を同時に与えるせいではなく、日本語が少ないせいです。
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何も、小学校の時から、両方の言語で傑出した「バランスバイリンガル」を育てる必要はありません。
普通の生活を送りながら、おうち英語で「英語の番組と英語の読書が楽しめる」程度の子供に育てておけば、あとは、英検だって中学生になってから自分で勉強して受ければいいのです。(その方が、お財布にも優しいですよ 笑)
その程度のことなら、そんなに大変なことをする必要もありませんし、日本語も犠牲になりません。
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「『たかが英語』を身につける」にも書きましたが、大人になったら、英語を話せることより、話すべき中身がある方が重要です。
英語に時間を使うより、日本語でしっかりとしたしつけ、教育を与えてあげたいものです。
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だけど同時に、英語は今や世界言語(リンガフランカ)です。
英語が話せないと、世界が狭く限定されてしまいます。
何もネイティブと同じ英語を身につけさせる必要はありませんが、国際会議で使われる程度のプレーンイングリッシュぐらいは、身につけておかないと後々苦労します。
(現に、それで苦労している大人が、日本には沢山いるんです!)
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これからの子供達には、たかが英語のために、そんなにお金やエネルギーをかけずに(特に大きくなってからそんなにお金やエネルギーをかけなくて済むように)小さいうちにおうち英語で、英語をシンプルに身につけさせてあげたい、と思います。
小さいお子さんにおうち英語中の若いお母さん達は、こんな番組に惑わされずに、おうち英語を続けていただきたい、と思っています。(「バイリンガル育児をやめないで!」)
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(もちろん「おうち英語にやり過ぎは禁物!英語を伸ばすには日本語を大事に」ですけれど、ね)
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