私は普段あまり、児童英語(おうち英語)に関するネットの情報を見ないので、最近の日本の子供英語界の事情はおうち英語の会の会員さんから教えていただくものがほとんどでした。
が、ここ最近、クラブハウスをやるようになって(平日は毎日12:30から30分、ルームを開けてます)、巷の「おうち英語やってます」という方々とお話する機会が増えました。
そこで気づいたのが、やっぱり子供に与える英語は、「子供の好きなもの」「子供が興味を持つもの」でないといけないと思っている人が多いんだな、ということです。
また、アウトプットが出ていると「順調」、出ないと「うまくいかない」と思ってしまうんだな、ということです。
アウトプットは「好きなもの」「興味を持つもの」だと出やすいので、この2つは密接に関わり合っているのですが、ここは「自我」の領域の話で、おうち英語で幼児に身につけさせたい英語は「無意識」での習得なので、ここに囚われていると、せっかく言語習得能力の高い幼児期におうち英語を始めても、アウトプットに取り組みが左右されておうち英語が難しくなったり、最大の効果を得られるインプットができなかったりして、もったいないことになってしまいます。
とりあえず「英語の音」が聞こえる環境なら子供は本能で英語を身につけます。(→ 赤ちゃんはどうやって言葉を覚えるか?)
英語の音を聞かせることによって「本能で英語回路(英語の部屋)を作る」ところまでは普通の子だったら誰でもできます。
これは、「その子が」というより「脳が勝手にやる」ことだからです。
これが、大人になったら脳は勝手にやってくれなくなるので、自分で(自我が)頑張って勉強するしかないのですが、自我で勉強したものは、なかなか無意識の領域にまで落とし込めないので、いくら勉強しても「使える英語」にまでするのが大変なのです。
一方、子供のうち(小学生ぐらいまで)なら、英語の音を聞かせることで、脳が英語回路を作り、聞かされた英語が無意識の領域に溜めこまれて、大きな英語の氷山を築くことができます。(→ ちえみ流・小学生のおうち英語について)
ただ、幼い頃に大きな氷山を築いていても、自我の領域とつながっていないと、海の底に沈んでしまって表に出せなくなってしまいます。
幼い頃に英語圏で過ごした子が帰国すると英語を忘れてしまうように見えるのはこのためです。
ですから、小学校に入る頃(自我が確立してくる頃)から、無意識領域の英語の氷山がいつでも自我に引き出せるような、自我とつながるパイプを作っていく必要があります。
こうして、自我と無意識をつなぐパイプができていると、身につけた英語をちょっとやそっとで忘れてしまうことはありません。
自我とつながるパイプを作るのに一番良いのは、「読めるようにしておく」ことです。
帰国子女が、帰国した時期が早すぎる(幼すぎる)と英語を忘れてしまうけど、読み書きができるようになって帰ってくると忘れにくい、というのは、自我とつながるパイプができているからです。
また、読めるようになると、読書で英語力を伸ばしていけるようになります。
日本語で考えても分かりますが、会話(しゃべり言葉やネットのチャット)より、書物にまとめられた文章の方が、しっかりした日本語に触れられます。
いくら教育テレビでもテレビばかり見ているよりは、本を読む方が知的活動としては上なのは、もう自明の理です。
英語も同じで、このため、日本のおうち英語では、「英語ぺらぺら」ではなく「洋書すらすら」をおうち英語では目指そうということを、私はオススメしています。
しかし、ここにも落とし穴があって、いきなり「読み」を急ぐのは(私の意見では)厳禁!です。
特にもう平仮名を読める子の場合、おうち英語を始めてすぐに文字を読ませると、自然な形(音から)の言語習得の妨げになったり、発音がカタカナ英語になってしまう場合もあります。
特に、小学校に入ってからおうち英語を始めた場合などは、どうしても、音から英語を理解するよりも文字から入るほうが早い気がしてしまうのですが、言語とは本来「音」なのに、音からの英語回路の構築ができていないうちに焦って文字を読ませようとすると、文字が妨げになって音が入りづらくなってしまいます。(→ 言葉は脳に習得させる )
私達も中学に入ってから、英語の読み方を習いましたが、いずれ読みは学校で習いますので、それまでに音を習得させておく方が、遠回りに思えても将来の英語の苦労がありません。
例えば大学入試の共通テストでも、音が入ってないと(リスニングはもちろんのこと)長文を読むのにも差がつきます。
人間は文字を読んでいる時も頭の中ではその言語の音が鳴っているからです。(→ 教科書(読み書き)中心の学校英語を始める前に)
試しに、自分で(何でも良いので)英語の文章を読んでみると分かりますが、どんなに英語が苦手な人でも、カタカナ発音で口に出すか、あるいは頭の中で英語の音が鳴っているはずで、その音は自分で読める(発音できる)音のはずです。
でも、英語ができる人は、文字を読みながら頭の中では、英語のリズムで流れる英語を聞いています。
流れる英語の音が感じ取れて、初めて、スムーズに理解しながら読むことができるのです。
英語の本を読むというのは、いくらおうち英語っ子でも大変なことなのですが、文字を見たら頭の中で英語の音が流れるようになってくると、読書が楽しめるようになっていきます。
10年かけてそこまで行くつもりで、のんびり取り組みましょう。(→ 英語の本を自分から読むのは、おうち英語を始めてから10年後)
ということで、今回お伝えしたい、おうち英語のポイントは、
📍かけ流しは別に子供が気に入るものや興味を持ったものでなくても良い
📍ただし文字読みを急がない(音の習得ができてから)
でした。
これについては、「おうち英語でスピーキングもできるようになる?」をお読みくださいね。
「おうち英語で子供をバイリンガルに育てたいけど、一人でできるかどうか不安」というお母さん(お父さん)のために「おうち英語の会」をやっています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
ですか?