先週の土曜日、会議通訳者の関根マイクさんをお迎えして「AI時代と英語:バイリンガル通訳者の立場から」という講演会をZoom開催しました。
関根さんは、通訳者としての技術やフリーランスとしての有能さはもちろんなのですが、世界中どこで暮らすことになっても「この人は絶対に生きていけるだろう」というたくましさ(今流行りの言い方だと「生きる力」)のある方です。
常々、そんな抜群の「生きる力」をどうやって育んでこられたのか、お話を聞きたいと思っていました。
幼い頃から外国に単身送り出された、というのは聞いていたのですが、今回は、これまであまり伺うことのなかった子供時代のことを聞かせていただき、やはり、タフな環境で生き延びる中で身についた強さなんだということが分かりました。
そんな環境をあえて与えてこられたご両親も素晴らしい!
早くから親元を離れて、失敗や挫折から乗り越えることで培ってきた強さが、どこで何が起きても生きていける力になっているのだと思います。
関根さんご自身も「失敗しなかったら、どこで学ぶの?」とおっしゃっていましたが、お話を聞きながら、私は自分の子育てを省みて、「子供が失敗しないように先回りして準備しすぎたな」と反省することしきりでした。
可愛い子には旅をさせよ。
(前回の「ちえみの部屋」のゲスト、ひよこさんのお話にも通じるものがあると思いました)
長女も大学生、次女も高校生になるので、自分でいろいろやらせて、失敗もさせてあげよう。
おうち英語に関連したことで言えば、今の世の中「英語ができるのは当たり前でしょ」という前提で、その上で子供にもう一カ国語やらせるとしたら「中国語とスペイン語はやってもしょうがない」「自然言語よりも、ゆくゆくはコンピュータ言語」というご意見が興味深かったです。
(いわゆる「新しいトリリンガル」ってやつですね)
関根さんご自身の英語との関わりは「留学なんかしたくなかった」「英語ができないと生きていけないと気づいた時から頑張った」「日常生活が送れる以上に英語力を高めようと努力したことはなかった」「その時々の必要に迫られて、最低限必要な英語力だけを身につけてきた」そうですが、通訳者になって「英語力を上げると収入が増える」と思うようになってからは、言語能力を高めるために積極的に勉強・訓練をするようになり、今でもその努力を続けておられます。
そんな「自分では全く望んでいなかったのにバイリンガルに育てられてしまった」関根さんですが、英語に関しては、「子供の好きにさせると言っても、子供は何が必要かは判断できない。親がある程度環境を与えることは必要。特に耳」と断言されていたのが、印象的でした。
また「これからの子供たちに語学力以外で必要なこと」では、「観光は外交の一つ」として、観光(海外旅行)を挙げておられたのも興味部かかったです。
確かに、外国を旅行するだけでも国際交流となったり、相互理解が進み、外国人との付き合い方(渡り合い方)も分かってきたりします。
関根さんは、「北米では男子は『なめられたら最後』なめられないために必死だった」とおっしゃっていましたが、私は日本生まれ、日本育ちで、海外経験は、40代後半にアメリカに3年間暮らしたことしかありませんが、アメリカで大学院に行ったということもあり、日本を一歩出たら「なめられたら終わり、自分だけが頼り」という感覚が少し分かります。
こういう感覚は、日本国内だけしか知らないと、なかなか実感として分からないので、移住は無理でも海外旅行をやっておくと良いかもしれません。
私は、自分自身の大学院の経験と通訳者として関わってきた現場での経験から、常々、日本人は、もっと積極的に英語で自己主張ができるようにならないと、と思っています。
それには、英語ができるだけではなく、関根さんのような「生きる力」も必要。
これまでのような「礼儀正しい日本人」でありつつも、言うべきことは言い、積極的に前に出ていける強さが必要。
今回のお話を伺って、変化の激しい先の見えづらい時代を「生き抜く子」を育てるためのヒントが少し見えた気がしました。
「おうち英語で子供をバイリンガルに育てたいけど、一人でできるかどうか不安」というお母さん(お父さん)のために「おうち英語の会」をやっています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。