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アメリカの予防接種で大変な目に遭った日

昔書いていた日記から、アメリカに住んでいた頃の思い出を振り返っています。第1回目はこちら 

今日は、アメリカの学校に入学するために、子供達に予防接種を受けさせた時の日記です。


アメリカの小学校に入るには、日本で受けた予防接種だけでは足りないので、追加の接種が必要だというのは知っていた。 
準備のいい人は、不足分を日本で打ってから渡米するのだが、私の場合は、仕事や次女の卒園、それに引越しそのもので余裕がなかったのと、なるべくなら打たせたくないという気持ちでどんどん先延ばしにしていたら、あっと言う間に渡米する日が来てしまい、結局日本にいる間には1本も追加摂取はせずにアメリカに来てしまった。 

先日、やっと学校の入学手続きが終わり、初日までに追加の接種を済ませておくように、と、クリニックの一覧表までもらったので、もう必要な接種は打たせるしかないだろう、と心は決まったのだが、アメリカでは1日に何本もの注射をいっぺんに打つのが普通、と聞いて、せめて1回に1本ずつで済ませてもらうことはできないのだろうか、など、この期に及んでもまだぐずぐずと先延ばしにしていた。 
一応、英語はしゃべれるとは言っても、病院の習慣も分からない所で、お医者さんや看護士さんといろいろ交渉するのはなかなか勇気がいるし、重い腰があがらなかったのだ。 

そんな私の様子にしびれを切らしたのか、夫が仕事先のアメリカ人に話をして、こちらの希望を聞いてくれるクリニックを探してもらい、実際の接種前に一度、相談ができることになった。 

折りしも、別の駐在員のお子さんが、Pre-K(日本で言えば年中さん)に入学するために予防接種を何本かまとめて打ったら、40度以上の高熱が1週間以上も下がらない、という騒ぎが持ち上がり、夫も私の心配に、少し真剣に付き合ってくれるようになった。 

ということで、水曜日、夫の仕事関係のアメリカ人がクリニックに同行してくれたので、看護士さんと話し合い、当初、長女は3種類3本を1日で、次女は5種類3本を1日で、と言われたのを、打つのは1週間に1本ずつ、ということで話が決まったので、「それなら」と金曜日の朝一番に予約を入れた。 

金曜日、予防接種当日。 
ここでもさらに担当の看護士さんに掛け合い、次女の水疱瘡の追加接種は不要、という所までこぎつけ、その日は、2人ともまず1本ずつ、それぞれ左の太ももに打ってもらった。 

副反応が出ないかどうか、15分はクリニック内で待て、と言われたので、しばらく様子を見ていたが、2人とも元気にしていたので、クリニックを出て、用事があった不動産屋に行ったり、返却期限だったDVDを図書館に返したり、お店に寄ったりしてから帰宅。 
昼食を食べて、疲れたので「ちょっと昼寝でも」とベッドに横になったら、次女も隣にもぐりこんできた。 
「足が痛い」と言うので詳しく聞くと、注射を打った太ももが痛い、と言う。 
そこで長女にも聞いてみると、長女も「痛い」と言って、2人とも痛くて普通には歩けず、足をひきずりながら歩いている。 

筋肉注射だったのかな?と思いながら、次女に触ってみると、体が熱い。 
あわてて熱を測ってみると、39度を超えている。 
しかし、この時点では「病原菌を注入したんだから、熱が出るのも自然な反応だよね」とのんびり構えて、とにかく私と一緒に昼寝をさせる。 

昼寝から覚めても、次女はいつになく元気がない。 
熱も下がる気配はなく、39度から40度に迫りそうな勢い。 

ここで初めて、クリニックで渡された予防接種の注意書きを読むと、「高熱(high fever)が出たら、すぐにドクターに連絡するように」と書いてある。 
high fever って何度からよ?と調べてみると、大体華氏100度(38.8℃)が基準らしい。 
しかし、まぁ「病原菌を注入したんだから、熱が出るのも自然な反応だよね」と、この頃には半ば自分に言い聞かせて、さらに様子を見る。 

やがて、夫が仕事から帰宅。 
しばらく様子を見ていたが、熱も下がらないし、今後のこともあるので、やはりERに行ってみよう、と言うことになり、4人で「何かあったらここに行け」と言われていた病院のERに行くことになった。 
時刻は夕方6時半ぐらい(まだ外は明るい) 

7時前にERに着き、大きな病院だったので、さんざん迷ってやっと受付までたどり着く。
受付で、日本の感覚でいきなり「今朝予防注射をしたら、午後から熱が出たんです」と症状の説明をしたら、受付の人に 
「ちょっと待って、SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)は何番?」と押しとどめられる。 

実は、SSNは不要と言われ、夫にはSSNが出ていない。 
SSNがないので、この病院で治療を受ける資格があるのかどうか、はっきり確認できるまでは受付もしてもらえない。 
結局、ERの受付では手に負えないということで、少し離れたオフィスまで回される。 

次女は高熱でぐったりして夫におんぶされ、長女は、注射のあとが痛いと足をひきずりながら、もう時間外なので暗いビルの廊下を、4人でとぼとぼと案内されたオフィスに向かう。 

そのオフィスでも、我々の保険がどういう位置づけなのか、担当の人もよく分からない様子で、なかなか手続きが進まない。 
スタッフの愛想はとにかくいいんだけど、子供がどんなにぐったりしていても、とにかく「この病院で治療を受ける資格があるのかどうか、はっきりするまでは絶対に受付を通さない」という姿勢に、保険がないと死にそうでも治療はしてもらえない、と悪名高いアメリカの医療システムの実態を見た。 

さて、30分以上も手間取って、やっと「受付してよし」となり、またERに舞い戻る。 
受付をすませると、ほどなく名前を呼ばれ、血圧や熱を測り、いきなり解熱剤を「飲め」と渡される。 
本当は、念のために解熱剤をもらったら帰るつもりだったのだが、飲むまでは次に進めないと言うので、日本では見たこともないようなショッキングピンクの液体を、嫌がる次女に無理やり飲ませる。 

この時点で夜8時近い。外は暗くなっている。 
「やっと終った、あとはお医者さんに診てもらって、やっと帰れる」と思ったが、そうは問屋が卸さなかった。 

次に名前をに呼ばれるまで、待つこと、待つこと、ひたすら待つことおよそ2時間半。 
夜10時過ぎまで、冷房のガンガン効いた待合室で、オリンピックのTVなど見ながら待つ。 
薄着で着たので、寒くて寒くて、こっちが風邪をひきそうな勢い。 
しかし、この寒さが良かったのか、多分、薬も効いたのだろう、次女の熱は下がってきて、だんだん元気になってきた。 

元気になってくると、退屈した長女と二人で騒ぎ始める。 
仕方ないので、普段は触らせない私のiPhoneを渡して「ゲームやっていいよ」と言うと、二人とも大喜び。 

11時近くなって、やっと名前を呼ばれ、個室に通され、また待たされる。 
それから、ドクターが来て、喉や耳を見た後、感染症の検査を2つ。 

検査の結果はすぐに出て、なんとかの感染テストが陽性だと言う。 
英語で病名を言われても「分かりません」と言うと、「第一言語は何ですか?」「日本語です」となり、Google翻訳をプリントアウトして持って来てくれた。 
でも、機械翻訳の日本語だけ読んでも何のことか分からず、結局、原文ももらって、それを読んでやっと納得できた。
これじゃあ機械翻訳はまだまだ主流になれないわ、と多少ホッとしたが、それでも、原文だけでは分からない単語や表現のヒントにはなり、そういう意味では、なるほどGoogle翻訳も便利だな、と思った。 

結局、「レンサ球菌(日本でいわゆる溶連菌?)」に感染しているということで、抗生物質と解熱剤が2種類処方された。 

発熱の原因は「予防接種とは何の関係もない」と言われたが、今朝までピンピンしていたのに、何の関係もないはずないよね~。 
ドクターは、ピンポイントの因果関係で考えるかもしれないが、トータルで子供を見ている母親からすれば、あの熱は予防接種の副反応としか思えない。 

薬局でももちろん待たされる。 

結局、病院を出たのは深夜12時頃。 
家に帰り着いたのは12時半頃だった。 

このER体験、子供達は、普段やらせてもらえないゲームを何時間もやれ、夜更かしもできて「楽しかった」そうだ。 
翌日、次女は37度程度の微熱が残っていたものの「遊びに行っちゃダメ」というのに苦労するぐらい元気になり、私の方が、寝込んでしまった。 

予防接種、こちらの希望で数回に分けてもらったおかげで、長女はあと2本、次女はあと1本、残っている。 
どうせ熱を出すんだったら、いっぺんに打ってもらっ方が良かったのかも?という思いもちらっとよぎるが、何事も、起きたことがベストだと思うことにしよう。 

〔2012年08月13日〕


アメリカで病院に行ったのは、この時と、次女がソファから落ちて頭を打ち、別のERに行った時、あとは、長女がメガネを作るのに眼科にかかった時だけなのですが、アメリカで病院に行くのは本当に大変で、うちは子供達が健康で、ある程度大きくなっていたからまだ良かったのですが、子どもが小さいと熱を出したりケガをしたりも多いので、子連れの海外駐在は本当に大変だ、とつくづく思いました。

この予防接種ですが、長女が中学に入る時にも追加接種が必要だったのですが、その時は新中学生が全員(アメリカ人の生徒も)対象だったので、中学の入学手続き(レジスト)の時に、学校に看護士さんがスタンバイしていて、10ドル払うとその場で打ってくれました。

そう言えば、この時の Google翻訳は本当にひどかったのですが、今は Google翻訳もすごく性能(?)が良くなり、私達翻訳者の地位を脅かすほどになりましたね(笑)

少し古い体験談ですが、海外で子育てされている方、これから海外駐在の予定のある方の少しでも参考になりましたら幸いです。


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